2019
10.06

僕なりに見えてきたセカンドキャリア支援のあり方

スポーツ, キャリア, 経営

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引退したアスリートは何をすべきか?

 

先日、僕がやりたい仕事に就けるまでの半生を過去の苦悩と合わせてお伝えしたわけだけど、今回は未来の話をしたいと思う。まずは、この段落のタイトルになっている問いかけへの回答をしよう。正直な話、模範回答はない。正解はないし、今でも様々な人が模索している。ただひとつ言えることは、その答えを見つけるために、がむしゃらに動き続けることが大事、ということだ。自分の人生は誰も背負ってはくれないし、自分にしか責任は取れないから。

一瞬でも、あのスポットライトを浴びる感覚を経験してしまった人間は、簡単に ”普通の感覚” には戻れないはずだ。他では絶対に感じられない、あの高揚感。それはそれは最高の瞬間だから。あの高揚感を、興奮を、引退後にどこに求めればいいのか?二度とあの感覚は味わえないのか?そう不安に思うアスリートも多いかもしれない。でも、味わえる。確実にもう一度その波を来させることはできる。僕が言うんだから(ってほどの結果はアスリートとして出してないけど)間違いない。もちろん、その人次第ということには変わりないのだけど。

 

ヤクルト球団片野氏との登壇

ヤクルト球団片野氏との登壇

 

今僕は、日本のスポーツチーム(プロアマ問わず)の全会場を満員にしようとしてる。自分自身に課した明確な人生のビジョンの元、この ”小さな” 夢を実現しようとしている。絶対にできることだから、小さな夢、でしかないが。プロクラブの努力があり、そこに僕たちの施策がマッチすることで実際に満員になった会場を見ると「良い仕事してるなぁ」と自分を褒められるし、誇りに思える。こんな会場でプレーできて嬉しいだろう!これが君たちのホームなんだぞ!そこに僕は一役買ってるんだぞ!と選手に対しても勝手ながらに優越感に浸ることもできる(笑)元アスリートなら、こんなに満たされる仕事はないんじゃないかな、と僕個人としてはとっても満足してる。この仕事を誰のためでもない、自分のためにやっているから満たされている。

 

引退して働く、ということ

 

仕事には大きく3つあると思っていて、 “やりたいこと” “やれること” “やらなければいけないこと” で、俗に言うwill can mustだ。今僕はwill=やりたいことをやっているから充足感がある。willに至るまでにたくさんの努力と苦労=mustを味わってきた。その中で自分なら!というcanを見つけ、今の自分がある。これはアスリートであればほぼすべての人が納得してもらえると思うが、僕たちは試合で活躍する=willのために血の滲む努力=mustを経験し、必要なスキル、自分ならではの得意技=canを創って戦ってきた。そんな僕たちがアスリートを引退し、ビジネス界に出たなら、またココで新人として1からmustを積み上げるしかない、ということは必要なことなんだ。そこにウルトラCは、ない。

あの劣等感が弾けた日から、僕は気持ちよく仕事をしている。willとmustが一致する仕事なんて、たぶんとても幸せな仕事人生だ。これはひとつのアイディアでしかないけど、元アスリートには、ナニガシ自分の出身のスポーツに恩返しというか、自分のバリューを発揮できたとき、とっても満たされる気がしている。やはりそのスポーツに生かされてきたからこそ、そこに恩返ししたい気持ちはある程度皆が持っているものだ。少しでもこのアイディアに共感してくれるのなら、僕みたいなセカンドキャリアの歩み方をオススメしたい。僕のようになれ!なんておこがましいことを言うつもりはサラサラなくて、とにかくオススメしたいんだ。

 

劣等感を持っていた張本人(という言い方は悪いか)とのようやくの対面!緊張した(笑)

劣等感を持っていた張本人(という言い方は悪いか)とのようやくの対面!緊張した(笑)

 

僕のように支援するカタチでスポーツに関わるのもよし、はたまた起業して儲けてスポンサーになるもよし。経営権まで持てるほど稼げたら、それはもう人から言わせたら成功者だ。もちろん引退直後からチームスタッフとしてチームに関わり続けるのも良いけど、なかなか即バリューを発揮することはやっぱり難しく、チームに還元するのは簡単ではない。一度外の世界を見ることを僕はお勧めしたいし、出たからこそわかる魅力や課題もたくさんあって、そこを捉えられるビジネスパーソンになってからでも出身の業界への貢献は遅くはない。

 

セカンドキャリアの苦しみ

 

僕はあえて引退後の選手の生活をセカンドキャリアという言葉を使うようにしてる。理由は簡単で、『わかりやすいから』ということと、やっぱりアスリートとして生きるということは、通常のビジネスパーソンとは全く違うので。“転職” という世間一般でツカワレル簡単な言葉では表現できないと思ってる。キャリアアップとか、経験の横展とか、そういうモノではない。とにかく何もかもが大変だ。全然簡単ではない。活かせるスキルも明確にはない。少なくとも、当時の僕にはなかった。今でこそ選手時代のスポンサー候補さんに話していたいわゆる営業トークはヒドイものだったな、と芳しい(苦笑)

アスリートとしての思考法が、ビジネスパーソンとして活用できる思考法に置き換えられる部分は大いにある。僕はここに可能性を感じてる。ただそれも、周りの誰かがスイッチを押してあげないと決して発動する(気づく)ことはない。僕の会社にもゴリゴリの元アスリートが数名いるが、正直育てあげるのに本当に苦労した。受け入れる側が覚悟を持って受け入れないと、本当にお互いに不幸になるだけだと経験からも確信してる。

だから人材業界の人に、どうかこれだけは!とお願いしたいことが2つあって、

・簡単にというか、通例通りのマッチングで転職斡旋をしないでください
・受け入れる側にもそれなりの覚悟を持って採用してください、とちゃんと伝えてください

採用なんだから、それくらい誰のときでもそうでしょ!?と思うかもしれないけど、全然違う(甘い)ので。体育会系出身と、元プロ(アマ)アスリートは全く違う。社会経験のファーストキャリアがアスリートだと、何もかも違うんです。当たり前が当たり前じゃなくなるので。最近では、ただ体育会系でした、も正直微妙だ、と言われる世の中ではあるけど。

僕は引退を決意した後、セカンドキャリア支援の可能性やマーケットを知るために人材系の会社を探していた中、何十件も書類審査で落ちる中、たまたま拾ってもらえ、就職できた。ただ、とにかくキツかった。初めてスーツを着て仕事らしい仕事を始めたことと、何より『したくてしたわけではない引退』という夢を諦めた直後の心的ストレスが大きかった。それに加えて、仕事の難しさや人間関係にも苦しんだ。アスリート時代とここまで違うのか、と。

初めてのガッツリ仕事は難しく、大いに悩んだ。出勤の時間になると下痢になり、どうしても会社のドアノブが握れなくて会社の入り口隣にあるトイレに駆け込み、トイレから社長に「腹痛で遅れます」とよくメールしていた。診断はされてないけど、当時は鬱だったんだと思う。アスリートだからって、ストレス耐性が強い!なんて考えは本人は捨てたほうがいいし、周りも捨てたほうが良い。得意なスポーツをやって上を目指していたその頃の自分とは違う自分で、社会への適合に苦しむ悩めるタダの一般人なのだから。

その後数ヶ月で会社が傾き、誰よりも先にリストラを告げられたのも、今だから納得する。当時は一番若いから、という理由を告げられていたが、そうではないな、と今経営者になっているからこそ理解できる。あの頃の社長には、戦力になれず、本当に申し訳ないことをした。仕事のイロハを教えてくれた恩人だ。そして、リストラ後の就活も非常に困難だった。有難いことに、運が良いことに、ウェブ系の会社に拾ってもらい、今の自分がある。ウェブに出会って本当に良かった。前職の本田さん、大森さん、そして現アトラエ社にいたコンサルタントの谷口さんに出会えて本当に良かった。今でも感謝しかない。

引退を決意した後、仕事人としての生活が軌道に乗るまでの間は、今思い返しても人生の中でNo.3に入るキツイ体験だったと今だから笑いながら言える。それを隣で叱咤激励してきてくれた妻に、今でも感謝してる。下痢でも毎日家から追い出され、仕事に行かされた。それは病んでいた頃の対処法としては模範解答ではないのかもしれないけど、結果的に僕には効いた。彼女がいてくれてるからこそ、今の自分がある。彼女のおかげで、今の自分がある。

 

セカンドキャリア支援の重要性

 

僕がなぜセカンドキャリアの支援をどうしてもしたいのか。それは非常にシンプルで、僕みたいに苦しむ人を少しでも減らせれば、という想いと、未来の日本スポーツ界の強さのため。前者はここまでシツコイほどに語ってきたので、後者を説明したいと思う。

日本でプロアスリートになったところで、物凄く稼げてる人はごく一部だ。農耕民族の血を引く日本人はどうしてもDNA的に保守的で、地道で、冒険をしない人物像が多いため、「プロ選手になって一攫千金だぜ!」という思考をする人は少ない。華やかに見える選手生活も、その先の人生もフォーカスされることが増え、苦しむ人間が多く、その事実を知っている(正しくは知っていないと思うが)親御さんは子どもたちに未来ある仕事として推奨はしない。

となるとナニが起きるか?アスリートを目指す人が減るのだ。将来の不安で。アスリートになりたい本人がそうでなくても、親や周囲の人間、そして環境で諦めさせてしまうことも多い。単純にアスリートを目指す子どもたちが減ると、将来の日本代表は有能な人財を獲得する可能性を失う。有能なアスリートを未来に生み出すのであれば、まずは多くの可能性がある人財で母集団を形成したい。でも目指す子どもがそもそも少なければ、可能性の低いところから母集団を形成することになる。これはスポーツ界の未来へのリスクだ。この流れを止めたい。

将来の不安からプロを目指すことを諦めているのであれば、そこを取り除けば良い。ペインの解決だ。だからセカンドキャリア支援は重要なんだ。僕らの考えるキャリア支援は今までのサービスとは全く違う。このセカンドキャリア支援の在り方を実現させ、現在のマーケティング・クリエイティブ事業とキャリア支援事業で日本そしてアジアでイニシアチブを持つ。その成果の先に上場があり、世の中に「こんな会社があるんだ!」と言われる会社にPSIをする。その時代にまだあるのかわからないが、カンブリア宮殿に出演し、世の中にしっかりとセカンドキャリア支援をやっている “稼げている” 会社があるんだ、と認識してもらう。そうすることで、少しでもプロアスリートを目指す子どもたちを増やしたい。今はまだ実験段階ではあるが、実現できそうな道筋は見えてきた。あとは爆速でそこに到達できるように動くだけだ。

 

僕らだから解決できるコト

 

なかなかアスリートのセカンドキャリア支援で上手くいっている会社がないのが実情だ。どうしてか?答えは簡単で、僕みたいな人が多いからだ。「もうやり切った!」「アスリート人生、一生の悔いなし!」と思って引退している選手は多くはなく、実力不足や経済的な問題、様々な解決できない問題でアスリートであることからquitせざるを得ない人が多いはずだ。だから僕みたいになる人が多い。就職後のミスマッチは転職業界では良くあるものの、そのリスクが高くなるキャンディデイト(求職者)はマーケット的には好まれない。こと転職マーケットは、即戦力を集めたくて採用している企業が多いため、即戦力になり得ない元アスリートは結果ニーズがない。僕が人材業界にいて感じた一番の問題点はここだ。ニーズが、正直な話、ないんだ。

ということで、僕がやろうとしてるセカンドキャリアの支援方法は世にすでにあるモノとは全く違う。転職は基本取り扱わない。きっと誰にも真似できないし、真似したくないだろうからココで新規ビジネス案を紹介してしまう(笑)僕なりのセカンドキャリア支援は、転職斡旋というソフトの提供ではなく、彼彼女らを雇用する会社・仕組みを創るというハードの提供だ。プラスクラスもしくはプラスクラス・スポーツ・インキュベーションで引退選手を採用し、育て、社会で活躍してもらう。

 

バンタンスポーツアカデミーで今は学生たちも育成している

バンタンスポーツアカデミーで今は学生たちも育成している

 

2019年10月現在、PSIの支援先は54チーム・7リーグとかなり多くなっており、その支援先チームが苦しむ『人の問題』をサポートするべく、当社内で育ったメンバーを各クライアントクラブに常駐させていくサービスを展開する予定だ。その仕組みの中で元選手たちには活躍してもらう。裏方として、満員の会場を創り出すことに喜びを感じてもらえると、僕の経験からも確信してる。クラブ側は社員として採用してしまうと、常に付きまとうのが退職リスクだ。特に入れ替わりが激しいスポーツ業界は、そこに大きなリスクを抱えている。ことバスケやサッカーであれば、スキルアップして野球やリーグ本体へ行けばキャリアアップになる。試合数が増え、忙しい毎日を送るだろうが、体制面でも給与面でもより良くなるだろう。

このリスクから逃れるためにも、育成コストを社内で抱えないためにも、僕らが育てたメンバーが常駐して、チームと並走する。もともと選手であった人材がモチベーション高く働く。いずれ80を超えるチームと付き合うであろうPSI本体には様々なナレッジが集まり、共有されている。同じような生活圏を持つチームの担当同志で情報交換ができる。適正な施策、効果があった施策、別チームでのアイディア、その多くはPSIに集まるようになる。だからこそPSI社内で人財も育ちやすく、より良い人財をチームに送り込むことができるようになる。80のチームに1人ずつ送り込めれば、80人の元アスリートを支援することができる。本社内勤務を入れれば100人くらいか。合わせてデジタルマーケターとして2名はクラブ内に置きたいと考えている僕らとしては、単純計算で言えば約200人の元アスリートはセカンドキャリア支援できそうだ。

 

レバンガ北海道の2019-20シーズン決起会

レバンガ北海道の2019-20シーズン決起会

 

この世界観を更に高速回転させるためにも、引退後の選手にはより早く成長してもらわないといけない。PSIに入社する前の段階からアスリートに対する学習支援=Educationももちろんしていくつもりだ。現役時代から選手という自らのバリューを上げるための『ファンマーケティング研修』を提供していく。これはもう4年前?5年前?くらいから話してることで、今になって、より実現可能性を感じている。引退後、そのバリューを上げる題材が、”選手である自分” から、チームもしくはブランドになっていくだけなので、転換が効きやすいと考え、現役時代からファンマーケティングに触れてもらう良い機会にできると確信してる。「ほらこの前までやってきたことでしょ?」とひとつずつ置き換えの説明をしてあげれば、「あ、そういうことですね」となるはずだ。要領を飲み込みば、アスリートは成長が早い。それが僕が押せるアスリート→ビジネスパーソンへのスイッチだ。

 

改めて

 

僕がセカンドキャリアの好事例だ!なんて威張るつもりもないし、僕のようになるとイイよ!と自慢するつもりもない。だけど、引退後の生活に心悩ませてる人がいたとしたら、それはとにかくガムシャラに頑張ることでいつか解決するし乗り越えられるので、今にとにかく向き合ってほしいな、と思ってて、そんな想いがひとりでも多くの人にこの文章というカタチで届くコトを祈ってます。

セカンドキャリアは本当に大変です。周りの皆さんの手助けが必要です。その中で成長し、自分なりの得意技を見つけさせてもらえると爆発的に伸びるので、温かく見守っていただくか、叱咤激励して育ててあげてほしいんです。誰かがスイッチさえ押してあげられれば、彼彼女らは凄い勢いで成長します。進化します。僕は、今後も現役アスリートの将来、未来にコミットしていくつもりです。

 

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