SEOの効果、KPIは順位だけでもないし、もちろん、ひとつでもない

SEOとは、検索エンジン最適化の略。ここ日本では、SEOはいつからか検索結果で順位を上げるためのソリューションとされ、取得した順位を元に費用を支払われるモデルがウェブマーケティング業界には広がった。成果報酬型SEO。未だによく聞くSEOのサービスだ。今回は、もう順位だけを取り沙汰して話すのはやめようよ、というお話。

SEOの効果は順位だけではない。

そして、SEOを実施する上でのKPIも順位だけとすべきではない。これは、順位が上がりにくくなっている現状を踏まえての提供側の言い訳ではなく、SEOの本当の価値や可能性をもっと理解すべきだ、という主張だ。ここ1〜2年以上、私はそのように伝え続けてきたつもりだ。

SEOは順位という目で見やすいものだけを価値とするならば、大した価値はない。もちろん、順位が上がることで誘導数が大幅に増えることもある。しかし、その逆で、ターゲットとしたワードの順位が上がったものの、誘導数は全く増えない。そんなこともしばしばある。これを受けて、『SEOは効果がない!』なんて言われてしまうこともあるが、そもそも、順位自体をKPIとした、そのウェブマーケティング施策自体が間違えていたということを強く伝えたい。

順位のみがKPIは間違っている

例えばの話、ウェブの担当者が経営者に『当社のサイトが”賃貸”というワードでGoogleで検索したら4位になりました!』と報告したら、経営者はなんと言うだろうか?『それはデカしたぞ!』と言うだろうか?まぁ少しは喜ぶかもしれない。しかし現実では、『そうか4位になったか。で、売上はいくら伸びたんだね?それにいくら使ったんだね?』だろう。

そもそも論だが、ウェブマーケティングの手法のひとつとしてSEOがある。つまり、SEOはウェブサイトからの収益を上げるという目的を達成するためのソリューションのひとつに過ぎない。ということは、やはりゴールは売上増加だろう。企業がマーケティング活動を行うのは、収益を上げるためなのだから。つまり、SEOの効果やKPIを順位”だけ”に置いておく、ということは、ソリューションとしても、企業としても、しごく不自然なのだ。ただ、わかりやすい指標ということもあり、今でも根強く順位がKPIとなっていることはしばしばだ。とはいえ、詳しくは後述するが、売上のみをSEOのKPIにするのは違うと私は思う。

そこで、私が考える効果やKPIの一部を今回は紹介したい。その前に、KPIそのものについても少し。

KPIという言葉は、Key Performance Indicatorの頭文字を取ったもので、読んで字のごとく、パフォーマンスを測る際に特に重要となる指標という意味だ。つまり、「売上を伸ばしたい!」という目的に対するKPIと、「サイトを見てくれる人を増やしたい!」という場合のKPIは変わってくるだろう。ただ、「サイトを見てくれる人を増やしたい!」という願望は、「そこから売上を伸ばしたい!」という願望が裏にあることを突き止めなくてはいけない、ということも忘れてはいけない。

ということで、私が思う、SEOを実施する際のKPIになり得る指標をいくつか。

■ファインダビリティ
■流入してくるワードのバリエーション
■インデックス数
■検索経由でのLPO
※順不同

少し詳しく説明していきたい。

1. ファインダビリティ

検索エンジンを使うユーザーのリテラシーは日に日に高くなっている。検索する際にも、昔のようにビッグワードばかりを検索するユーザーは減ってきているのではないだろうか。実際、多くのビッグワードを、GoogleのInsights for searchで調べてみると、ワードによっては、検索数が落ちて来ている。このデータを鵜呑みにして良いかは別として、そういった事実もあるわけだ。

例えば、「賃貸」では緩やかに検索数は落ちているものの、「賃貸 世田谷」では緩やかに検索数は伸びている。これは、検索ユーザーの検索の仕方がビッグワードからどんどんミドル・テールワードに寄ってきているのでは?とも考えられる。検索ユーザーのニーズは様々で、検索リテラシーも上がってきている。そうして、検索ワードの細分化に影響を及ぼしていっているのでは、と私は思う。

そんな際に、前述の通り、「SEOを『賃貸』でやりましょう!」→「順位が4位になりました!」で良いのだろうか?否。様々なワードで検索された際に、より多く自社サイトを見てもらえる位置にいることが大切ではないだろうか。これがファインダビリティだ。SEOをスタートする段階で、このファインダビリティを競合と比較しながら調査する。そして、そのファインダビリティを少しずつ上げていくようにSEOをプランニングし、実施していく。これが今後のSEOの指標としても、重要だと考える。

2. 流入してくるワードのバリエーション

サイトに流入してくるワードは想像もつかないワードがあることがある。そして、そのワードから購入に至っていることもある。そんなデータには毎度毎度驚きを隠せない。私たちが考えている以上に、ユーザーの検索ニーズがバリエーションに富み、想像もつかないくらい様々なニーズがあるのだ。そのニーズに対応できるようにサイト側では準備をしたい。

サイトへの流入ワードの数が800しかないとしよう。それは、800の検索ニーズにしか対応できていない、ということだ。ではこれが2,000になったとしよう。それは、2,000の検索ニーズに対応できるようになったということだ。そのためにやらなければいけないコンテンツ制作や、titleの設定など、そういったSEOの施策は置いておいて、その結果が及ぼす効果は、トラフィックの増加だけではなく、コンバージョンの増加も見せてくれる。様々な検索ニーズにサイトが応えたことにより、検索ユーザーから求められた、ということだろう。流入してくるワードのバリエーションだけでなく、申込や購入に至ったワードのバリエーションを調査し、このバリエーションが増えていくように、というのも指標に入れながら対策を心がけたい。

また、SEOの効果として、大きいと私が確信してやまないのが、ワードの拡がりだ。リスティングでは部分一致という概念があるものの、基本的には、入稿したワードで広告が表示される。しかし、SEOでは、ターゲットにしているワードから、幅をもって効果が出てくる。

例えば、「世田谷 賃貸」で被リンクも集めるような注力具合でSEOを実施していたとすると、サイト内に様々なコンテンツがあった場合のみ、「世田谷 賃貸」での流入だけに留まらず、「世田谷 賃貸 相場」や「世田谷 賃貸 駅近」、「世田谷 賃貸 2LDK」などのワードでも流入が見込めるのだ。こういった組み合わせワードのデータを検証すると、特に対策を意識し、被リンク獲得にも努めた「世田谷 賃貸」だけでの誘導数や問い合わせ数の伸びに比べ、「世田谷 賃貸」を含むワードでの誘導数や問い合わせ数の伸びが大幅に見られる。内部での対策と被リンク施策をうまく相互で働きかけ合うとこのような嬉しい結果が得られる。これが私がSEOを辞められない理由だと言っても過言ではない。こうした状況からも、バリエーションの増加はKPIとしても追っていきたい。

3. インデックス数

これは、SEOの順位を上げるためのページ数の増加ではない。上記の1、2を実現するためにも重要なインデックス数の増加だ。もし「世田谷 賃貸」では流入がある。しかし、「三軒茶屋 賃貸」では流入がない。検索数はないか?いや、ある。実際に調べてみたらわかることだが、インデックスされてないということが多い。もしくは、申し訳ない程度に300位くらいにいる、ということぐらいが理由として考えられる。せっかくコンテンツを持っていても、サービスをその地で提供していても、インデックスされてないのであれば、見てもらうことはできない。もちろん、「世田谷 賃貸」で契約に至ってくれれば良いが、「三軒茶屋 賃貸」でも契約に至るユーザーが増えるにこしたことはない。

そうした検索ニーズの多様化≒バリエーションへの対応をできるように、サイト内でのSEOや新規でコンテンツを作成するなど、インデックス数の増加に努め、効果を測っていきたい。単純に表現すれば、インデックス増加→ファインダビリティ向上→流入ワードのバリエーション増加→トラフィックの増加(→申込や問い合わせの増加)という流れを狙っていきたい。

4. 検索経由でのLPO

1〜3まではトラフィック寄りの指標を紹介してしまったので、こんな指標も紹介したい。LPOは今でこそ有名になってきた言葉だが、まだまだ誤解の多い言葉だ。Landing Page Optimizationの略で、ユーザーがサイトへ訪問してくれる際の、入口となるページの最適化を意味する。こと検索で言えば、検索ワードとその入口ページ(ランディングページ)の整合性は重要だと私は思う。

例えば、「三軒茶屋 賃貸」で検索した際に、自社のサイトでは、三軒茶屋駅から徒歩14分の物件のページがヒットしていたらどうだろうか。もちろん、していないよりは、していた方が良い。しかし、本当は、三軒茶屋から徒歩3分でオススメの物件もある。徒歩は6分だが、新築で安めの物件がある。サイトの特性に依るとは思うが、賃貸系のサイトでは、入口ページとして効果の出やすいページは、エリアのトップで、そこから検索していくか推薦物件からが問い合わせとしては多かったことを肌で感じている。であれば、LPとして正解なのは、三軒茶屋の物件をくまなく紹介もしくは検索できる三軒茶屋のエリアトップページとなるだろう。

そこで、サイト内リンクの設定やディレクトリ構造の改修やtitleなどのhtmlベースでの改修やコンテンツの強化を経て、三軒茶屋のエリアトップを「三軒茶屋 賃貸」で検索した際にヒットさせるようにSEOをした方が良いだろう。検索経由でのLPOのひとつの手法だ。もちろん、物件詳細でコンバージョン率が高いのであればそれはそれで正解であるし、ナビゲーションでなんとか回遊性を高めるという方法もあるだろうが、「サイト内を整備し、意図するページにランディングさせる」これもSEOだと私は思う。その検索ワードとページのマッチ度を上げていくSEO≒LPOの状況も効果としてSEOのKPIとしていくのも良いと考える。

なぜ売上が入っていないか?

それは、今回の紹介がSEOのKPIだから。ウェブマーケティングのKPIではないから。もちろん、売上が上がるような手法として、私もSEOを提供している。しかしながら、SEOをしたから売上が上がる、となれば嘘だ。SEOを行うことで、サイトへのトラフィックを増やす、もしくは新たな今までにない属性のトラフィックを獲得する、そこから、サイトで扱っている商材力や、キャンペーン、コンテンツ、CRMなどなど、そうした総合的な手法を用いて、それでようやっと、最終的に売上を伸ばすことに繋げていくのだ。

SEOをやれば売上が上がるなんて、そんな簡単なことありえない。SEOだけで、なんてもっての他だ。今が旬のワードを予想して先に自然検索結果で露出することはできるか?否。そうした検索ワードはリスティングでしっかり押さえるなど、SEM全体で拾っていかなければならない。もちろん、可能性は十二分に増える。あくまで極端な例の話だが、どんなワードで検索しても、100位などで全く見られないサイトよりも、それは3位にいるサイトの方が”可能性”は増える。だが、そのために100万かけてたとしたら?そこからの申込や購入品から見て、30万しか売り上げてなかったら?それはもしかしたら、100位にいるサイトよりも悲惨かもしれない。

SEOの担当が、商品の構成を担当している商品企画や、クロージングを担当する営業や、リアル店舗があれば、その売り場を担当する販売へと口出しができるのか?これさえも関わってくるのが売上を伸ばすためのマーケティング施策だ。それがもしできる立場ではない、範疇ではない、ということであれば、売上をKPIに入れることは担当者的にも危険であり、間違いだろう。もちろん、そうできるように環境を整えていくのも、仕事のひとつだとは思うが。

とはいえ、順位も大事。効果やKPIはひとつではないことを意識したい。

誤解を招かないためにも伝えておきたい。対策ワードを決めて、その順位のみを効果やKPIとして追いかけることが間違いだと言いたいのだ。上述した、ファインダビリティにしても、流入ワードのバリエーションにしても、インデックス数にしても、LPOにしても、順位がある程度上がっていなければ、数値は上がって来ない。KPIは目標を達成するための重要な指標であり、その目標達成のためにSEOという手法を使用する。KPIをファインダビリティとした時、そのKPIの達成度を高めていくには、SEOの実施の中で様々なワードで、そのワードに該当する(マッチする)ページの順位も上げていくことは大事だろう。

もはや順位をKPIにしている会社は多くはない、と信じたいものの、まだまだそういった提案をしている会社を見かけるのと、順位でしか判断できないクライアントサイドが存在するということも事実なので、今一度SEOの効果や実施をする上でのKPIを考えてみて欲しい。そのままでは、SEOを実施したところで、実施し続けたところで、売上を伸ばすことはできないだろう。その会社、サイトの形態、それぞれに合ったそれぞれのKPIがあるはずだ。そのKPIに合わせてSEOをプランニングし、実施し、望む効果を得たか、費用対効果含め検証し、改善をしていく過程で、対策の評価自体もしたいものだ。

 

株式会社プラスクラス
平地大樹

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